久しぶりにオーケストラを聴く
2019年 07月 04日
うん十年ぶりにオーケストラのコンサートへ行ってきました。
指揮者はエリアフ・インバル、演奏はベルリンコンツェルトハウス管弦楽団、ピアノはアリス=紗良・オット。
演目はモーツァルトのピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K. 467 と マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
このコンサート、テレビは持っていないし大衆向けの一般新聞を読まない人間ゆえに
その存在を知ったのはわずか1週間前。
さすがにこの組み合わせだと空席があっても座りたい席はないだろうなぁと期待せずにチケット探しをすると
前列に空きあり。フィンガリングは無理でもペダリング見るには十分。迷わずS席13,500円で購入。
仕事を17時に終わらせ電車とタクシーを乗り継ぎ会場へ到着したのは開場10分弱。
開場と同時にプログラムとCDを調達し、会場へ。
ステージ上のSteinway & Sonsのピアノが最終調整を施されている最中。
Boesendorferの次に弾きやすくて好きなSteinwayのピアノ。見ているだけでも幸せな気分(笑)
そうこうしていると開演。
非常に柔らかく繊細な音からほっそりとした女性が弾いているとは思えないほど
迫力のある音、様々な彩の音色が満載。
モーツァルトはピアノ上級者やセミプロ、プロが弾いていてもかなり微妙な演奏がある(ような気がする)中で
聴いてよかったなと思える演奏。軽快な素足のペダリングもばっちり見られ、願わくば楽譜持って、
こうやって、ああやってってメモできたらと思うほど。
アリスさん、終始楽しそうに演奏する姿も非常に印象的。その姿を見て幸せな気分になった
オーディエンスも多いことと思います。
また、アンコールで弾かれたエリック・サティのグノシエンヌも独特の世界が見事に表現されているようで
妖しい不可思議な世界をずっと彷徨っていたい気分にさせられる演奏でした。
が、あっというまに演奏は終了し、休憩という名の現実世界に無理矢理引き戻されることに。
とりあえず水分補給しながら、購入したCDを開けておく。
そしていよいよ後半。マーラーの交響曲5番。
オーケストラはごく最近までピアノ曲を多数作曲している作曲家の有名な曲が演目でない限りは
基本的に聴かない人間だったので、積極的に聴いたことのないマーラーの交響曲を
退屈せずに聴けるか?(失礼)という大きな懸念が。
しかしそんな懸念は出だしから払拭されるほどのエリアフ・インバル & ベルリンコンツェルトハウス管弦楽団。
渾身のマーラーと言われるだけのことはあり、80代とはとても思えない迫力。
時にメロディーを口ずさみながら全身全霊で指揮する姿を目の前で見られたことは幸運としか言いようがありません。
あまりに素晴らしい演奏にこちらまで歌って踊りたくなるのを抑えるのに大変な後半でした。
指揮者と楽団の組み合わせもあるのかもしれませんが、個人的には良いと思えるオーケストラでしたので
いつかベルリンの本拠地で聴きたいな…と。
(うっ、コンサート中にワンコさんの相手をしてくれるドッグシッターさん探さないと)
終演後はダッシュで会場をでて、サイン会の場所へ。
こういう時、前側の席は少々不利ですね。たどりついた時にはアリスさん側の列は
すでにものすごい人で階段を上って順番待ち。(マエストロ側は閑散としていて、へそ曲げないか心配に…。)
かなり待つだろうなという予想とは裏腹に、あっという間にアリスさんの姿が見えるところまでに。
一人一人にありがとうございますとにこやかに挨拶されている姿は老若男女惹きつけること間違いなし。
いざ自分の番に。あのアリスさんが本当に目の前にいる!と感動(爆)
テレビで学芸会よりもひどいレベルのパフォーマンスしかできない芸のない変な芸能人よりも
(比べること自体がアリスさんに失礼ですね)比べ物にならないほどの美しさ。
サインをいただいたあと思わずDanke Schoenと言ってしまった私にニッコリドイツ語で返してくださり。
女性嫌いの私から見てもかなり素敵な方でした。
【写真:いただいたサイン。うっかりと黒いバックのページにお願いしてしまいました】
アリスさんのサインをいただいたあとは、インバル氏のサイン会の列にならぶものの何か怪しい。
どこかからスタッフが、ひょっとしたら今日はないかもしれません…と。
えっ!?マジですか…。インバル氏の底知れぬパワフルさをもっと間近に…と思っていたのに。
ただ、まだ決まったわけではなさそうなので待ってみる。が、一向に登場する気配はなく。
そうこうしているとスタッフから「お疲れのようなのでサイン会はありません」とのお知らせ。
残念ではありますが、まあ仕方なし。またどこかでお目にかかるのを願いながら会場を後に。
衝動買いでチケットを調達して聴きにいったコンサートではありましたが、行ってよかったコンサートでした。
アリスさん、多発性硬化症であることを公表されていましたが、彼女が病気の影響に苦しむことなく
この先もずっと楽しくピアノを演奏できますように…と。